資金繰りから解放され本業全開になる3つの法則

中小企業の生命線は何だと思いますか?
それは資金を絶やさない事ですね。

資金を絶やさないためには「資金繰り表」を作っておく事です。
「資金繰りは難しい」と言うメンタルブロックを外し、企業の生命線である
「資金繰り」の初めの一歩を踏み出しましょう。

なぜ資金繰り表が必要か?

この質問に明確に答えられますか?
企業体には様々な種類のお金が回っています。
売上入金、仕入れ代金の支払い、借入、給料、税金etcどれも大事です。

多くの中小企業は、このお金の入りと出をドンブリにとらえ
気づいた時には「お金が足りない」状態に陥っているのです。

そして銀行に駆け込む…
非常に危険な状態と言えます。

生命線である「資金繰り」を活用出来れば、安心して本業に専念出来ます。
ではどうしたら良いでしょうか?

金融機関はいきなりお金を貸しません!

確実に融資を受けられるかどうか?が中小企業の経営にとって最重要課題と言えます。

金融機関(以下銀行)の視点で見てみましょう。
銀行が取引先から融資を受けた時には銀行員は「融資稟議書」を作成します。

そこには7つの項目を融資先に聞いて書いて
融資担当役席、支店長、本部に審査を上げる必要があります。

①融資金額 ②利率 ③貸出期間 ④実行予定日 ⑤保全 ⑥資金使途 ⑦返済資源です。

資金使途が機械設備等の投資であれば、メーカーの見積り書で代用できますが、
運転資金の場合、「資金繰り表」をきちんと見せて、理由を説明する必要があります。

私は付き合いのある銀行の支店長代理から、こんな話を聞いた事があります。

その支店長代理はとある社長から再融資依頼を受け
「社長、この前に貸したお金はどうしたのですか?」と
質問したのですが、まともに答えられなかったそうです。

そうです、銀行側から見れば前に貸したお金は一体何に使ったのか?
無駄に使ったのではないか? 
この会社に貸して、返してもらえるのか?

と疑心になるのですね。
資金繰り管理が出来ていない、ドンブリ経営の会社は
大体2週間前にお金が足りないと気づくそうです。

銀行は融資稟議書を作成して、行内で審査が下りるのに時間が掛かります。
2週間では、時間が足りず断られる可能性が大きいです。

資金繰り管理が必要な3つの理由

融資依頼をする時に3期分の決算書と共に
「資金繰り表」の提出を要求する銀行が増えています。

それは「勘定あって銭足らず」と言う様に利益が出ていても
資金が足らず倒産してしまうケースがあるからです。

「黒字倒産」と言う不思議な現象が世の中には存在します。
メカニズムは後で触れますが、資金繰り管理が必要な3つの理由は主に次となります。

①資金調達に支障を来すから

銀行は急に融資を依頼されても対応出来ない場合があります。
半年に2回不渡りを出すと銀行停止処分となります。
そうなると会社の存続自体が危なくなりますね。

②事業とって危険信号を察知できるから

売上・利益が落ちている時に経営者は気づきますが、
資金については、ピンと来ない経営者が多いのです。
それは資金の流れには「タイムラグ」があるからなのですね。

少なくとも3ヶ月前には、銀行に相談する必要があります。
銀行は駆け込み寺ではありません。

時間的な余裕があれば、銀行も打ち手を考えてくれます。
逆に急な場合、「いい加減な会社」と見なされ親身になってくれません。

取引先の急な倒産による資金不足や、自然災害等の理由ならば
銀行も力を貸してくれると思いますが、単なる管理不足では難しいでしょう。

また危険信号を察知出来れば、取引先に売上代金の回収を
半年早める様に頼む、また支払を半年遅らせてもらう様に頼む 

これが出来れば1ヶ月資金に余裕が出来ます。
月商300万円の会社ならば、300万円余裕が出来るのです。

③資金の有効利用による利益率アップ

急な融資依頼を銀行から断られると商工ローンや消費者ローンから
お金を引っ張ってくる様になります。

この場合、約15%位の金利が掛かります。
銀行ならば約3%で済みますからその差は利益から消える事になります。

また手形を割引く場合も、資金繰りをキチンとしていれば、
最低限期間の割引ですみます。

管理が出来ていないと、怖いので必要以上の期間で割引いて
不要な割引料を支払う事になるのです。

これも当然、利益が消えて行き、資金不足に拍車をかける事になります。

融資の際に資金繰り表の提出を要求する銀行が増えています

決算書のみでは、実際のお金の流れが見えにくいからです。
では、具体的な資金繰り表の作成の仕方を公開しましょう。

資金繰りに必要な計算は「足し算」と「引き算」のみです。
掛け算も割り算もありません。

作る事が目的ならば、中学生でも出来ます。
まず全体像を説明します。

下段の図表1をご覧ください。

1月のAからEまでが「商売に関する収入」の合計値です。
現金売上は判り易いですね。
 経営者として注意しなければならないのが「売掛金回収」と「手形期日落」です。

この二つを制する事で資金繰りを制する事ができます。
この二つに共通なのが「期間」と言う制約です。

別の言い方をすれば「タイムラグ」です。
この説明は次回のブログで詳しく説明します。

次は、商売に関する支出です。
買掛金の支払い、手形期決済、給料が主なものですね。

商売に関する収入と同様に、経営者が注意を必要とするのが
「買掛金の支払い」と「手形決済」です。

その支払条件や手形決済の期間ですね。
商売に関する収入の売掛金、手形期日落ちと商売に関する支出の買掛金、
手形決済の「タイムラグ」が絡み合い、これを制している企業と
そうでない企業は資金繰りに大いに影響します。

図表に戻りますが、この事例では収入と支出の合計の差を
差引過不足として計算します。

この場合、4,570となりこの時点では
資金繰りが回っている事になります。

次に資金調達に関する収入と支出を書き込みます。
事例では、収入で手形割引が500、支出は借入金返済で100となっています。

手形割引とは、売掛金の回収として売り先から受取った手形を
手形に書いてある期日の前に、取引銀行に肩代わりしてもらうものです。

ですから金利が発生します。
商売に関する支出の欄で「割引料」がありますね。

これが手形割引した時に銀行に支払う利息となります。
ちなみに割引料=利率×手形期日までの期間です。

ですから、なるべく期間は短い手形が良いのです。
資金調達に関する収入と支出の差引過不足は-500です。

先程の商売に関する差引過不足に足し算を行えば
翌月繰越高4,070が求められます。

これがこの企業の手元に余った現金となります。
資金繰りが悪くなる大きな要因が、この支払条件を

相手任せにしているからです。例えば、一つの取引に対して、
支払条件が「月末締めの翌々月10日払い」だとします。

一方、その取引をするために仕入れ代金を「月末締めの翌月末払い」
であったらそこに10日間の「タイムラグ」が発生します。

つまり、10日間「資金が足りない」と言う事になります。
その間に社員の給料支払いもあります。

この様な事が積み重なれば、当然資金ショートします。

取引先の支払条件を見直そう

売り先、支払先とに分けて支払条件を一覧表にしていますか?
一覧表にすると、様々な事が見えて来ます。

これまで期間について書きましたが、支払条件の中には
20%現金、80% 90日後現金(売掛金)や 20%現金、80% 90サイト手形
等取引先によって異なると思います。

それをエクセル表にまとめ、下段の図3の様にまとめましょう。
そして早く現金化する取引先に並び変えるのです。

(エクセルですと、ソートをかければ楽に並び替えできますね)
これをするだけで売掛金がいつ「現金化」するかすぐわかります。

手形は、額面に期日が書いてありますので簡単です。
この売掛金と手形という「タイムラグ」がある債権を
いつ現金化するかを抑える事が大事です。

逆にあなたの会社が支払う買掛金と支払手形期日落ちも
同様に一覧にしてくださいね。

あなたの振り出した手形が、決済されない事を「不渡り」と言います。
半年に2度不渡りを出すと、銀行取引停止処分となります。

資金繰りは、他にも過剰在庫を圧縮する事、粗利率を高める事、
ムダな経費削減等の対策がありますが、効果が限定的、時間が掛かる事がネックです。

一番早く資金繰りを良くする方法は、
このタイムラグがある支払条件を制する事です。

そして、支払条件が良くない取引先に交渉する事が
コストがかからず、直ぐに出来る対策です。

例えば、末締め翌々月15日払いの売り先に、
翌月末払いに変更してもらう交渉をします。

次に支払先に末締め翌月末払いを翌々月15日払いに交渉します。
そうすれば、売り先から15日早く回収出来、支払先に15日遅く支払う事になります。

トータル1ヶ月の資金余裕が出る事になります。
なかなか取引上の力関係で難しい面もありますが、

資金ショートする事を考えれば出来ますよね。
まずは信頼関係のある取引先やスポットでしか注文が来ない
取引先を選んで交渉をしましよう。

いよいよ資金繰り表作成の最後の説明となります。
前回まで月毎の勘定科目の管理を書いて来ましたが、

日々の記帳があっての事です。
それを「日繰り表」と言います。

下段の図表2の1月をご覧ください。
事例では3,500ですね。 現預金の残高となります。

そして日々の現金の入りと出を記帳してください。
月中と月末で最低2度は確認作業をしてください。

確認する日を予め決めておくといいですね。
同時に行うのが、1月以降、つまり2月、3月の予測をたてる事です。

これが資金繰りの要です。

経営計画を立てている方は、そこから売上予想を引っ張ってくるか、
最新の受注状況でも良いでしょう。

その数字が無い方は、昨年の実績値を引っ張って来て
現在の状況と勘案してください。

大事なのは売上予測は「固め」に見る、
経費は「厚め」に盛っておく事です。

これが逆転すると、楽観的な数値となり、
気づくと資金が足りなくなる事になります。

常に3ヶ月先の資金繰り表を作成し、
月2回見直すだけで危険信号を察知する事になり、
最悪この資料を基に銀行に相談してください。

3ヶ月後なら銀行も打ち手に知恵を絞ってくれると思います。
逆に毎月銀行に試算表とセットで資金繰り表を提出する事を決めたら如何ですか?

資金繰り表を作成する環境に自身を追い込めば、
モチベーションアップになりますし、

なにより銀行からのあなたの会社の評価が各段にあがります。

如何でしたでしょうか?

経営者の責任として資金繰り管理の必要を理解して頂けたでしょうか?
今後資金繰りに本気モードで取組みたい熱い社長の方、
お1人で取組まれるのもやり方の一つだと思います。

また私の様な専門家と二人三脚で取り組むのもやり方の一つだと思います。

どちらが早く、資金繰りの悩みから解放されて
本業にアクセル全開で踏み込める様になるでしょうか?

決めるのは社長の自由です。

 

 

 

投稿者プロフィール

丸山一樹
丸山一樹
特定非営利活動法人 日本経営士協会 首都圏支部役員 経営士 丸山未来経営研究所 代表所長 ■ 主な執筆活動 「近代中小企業」(経営者向け専門誌) 「東洋経済オンラインニュース」 http://toyokeizai.net/articles/-/95664 ■ 経営者向け勉強会 決算書を読み解けず、会社のお金の流れにドンブリな経営者に「お金のブロックパズル」を使って視覚的に誰でも一瞬で理解出来る「脱★ドンブリ経営実践セミナー」を定期開催している。 ■経産省認定 経営革新等支援機関(関財金1第587号)