事業承継 はじめの一歩を踏み出そう!

中小企業白書(2006年版)によれば、年間29万社の廃業のうち、
後継者不在を第一の理由とする廃業が7万社雇用の喪失は
毎年20万~35万人に上ると推定されています。

事業承継はもはや他人事ではありません。

あなたの会社は、将来を見据えて事業承継計画を立てていますか?

我が国を取り巻く事業承継の実体

国内の社長の平均年齢が年々高齢化しているのを
あなたは新聞、ニュース等でご覧になった事がありますか?

1990年は54歳であった社長の平均年齢は今やほぼ60歳。
その60歳代の社長の後継者は3割が決まっていないと言う事実。

これは年を追う事に後継者不在による「廃業が年々増加する」事を意味します。

また、かつては親族内承継が全体9割以上を占めていましたが、
近年ではその比率が8割弱減少しています。

一方で親族以外の役員や社外の第三者への承継が増加しています。
事業承継の準備は早目に取組みましょう!

驚くべきことに後継者候補がいる企業においても
「後継者に話しをしていない経営者が約2割」と
社長と後継者候補とのコミュニケーションの問題も浮彫にされています。

そして先代から事業を引き継いだ時に苦労した点として
「経営力の発揮」を挙げている経営者が最も多く、
「経営力」を引き継ぐための後継者育成期間を「5年から10年」
と考える経営者が多数を占めています。

この事から「早い段階で計画的に事業承継対策に取組む事が
スムーズな事業承継となり大事な会社を継続させる事になるのです。

事業承継対策、初めの一歩を踏み出そう

事業承継とは「現経営者から後継者への事業のバトンタッチを行う」ことですね。

それまで会社が培ってきた、さまざまな財産(人・物・金・知的財産)を
上手に引き継ぐ事が、承継者の経営を安定させるためにとても重要なのです。

一つずつ見て行きましょう。

人:これはズバリ 誰が「後継者」になるかですね。

物・金:自社株式、事業用資産(設備、不動産)、資金

知的財産:経営理念、社長の持つ信用、営業秘密、特許・ノウハウ、

熟練工が持つ匠の技、得意先担当者の人脈、顧客情報、許可・認可・認証

実はこの知的財産を承継するのが、一番難易度が高く、時間がかかるものです。
なぜならば「目に見えにくい経営資源」だからです。

これらを「暗黙知」と言います。
それを「形式知」化する事が一番早く承継する近道なのです。

「形式知」化するには、言葉化する事です。
言葉化すると言う事は、「書面化」する事ですね。

この事から事業承継は「相続税対策」と見られがちですが、
それは事業承継の対策の一部に過ぎません。

現経営者の頭の中や、会社全体で何となく思っている自社の
「強み・弱み」を棚卸しましよう。

思っているレベルは行動を伴わないので成果が出ません。
言葉化すると行動が伴いますので成果がでます。

つまり承継と言うゴールに早く辿り着きます。
例をいつくか挙げますね。

経営理念:これは創業者の創業の哲学や想いです。
そして事業において日々起きる課題・難問の判断基準となります。

理念は「王が里る(悟る)今の心」と読めます。
ですから、企業において一番の上位概念となります。

この理念に基いて、経営計画、方針、戦略、戦術が決まります。
自社の強み・弱み:これはSWOT分析と言うマトリクスによる手法で
洗い出すのが一番早く有効です。

現経営者、幹部社員含め全員で洗い出してみてください。
とても楽しい作業です。

そして洗い出された「強み」を更に向上する事が秘訣です。
中小企業は経営資源が限られています。

弱みを克服するより、まず強みを伸ばす事が先決です。

事業承継計画を立てる事からスタートします

事業承継は、承継の仕方にもよりますが、「長期的なビジョン」に
基き承継を進めるのが一番の近道です。

ご子息に事業承継をされるのが一般的ですが、
「最近は後継者がいない」事が問題となっています。

それは少子高齢化や働き方の多様化で、後継者候補がいてもその意志が無い事もあります。

その場合は、社員の中から選抜するか、同業他社との
M&Aと言う選択肢もあるでしょう。

いずれも「頭の中で思い描く」だけでは行動に結びつかず、
時間だけ浪費されていく事になりかねません。

後継者をご子息か社員に選ぶかは別として、後継者育成には
5年から10年計画で考えた方が良いでしょう。

急に後継者に指定しても、取引先、金融機関に
信用されない場合がありますしそもそも社内で不満が出る可能性もあります。

あなたがもし60歳を超えており、そろそろ事業承継を考えようと
思っているなら今すぐ具体的な行動に移さないと手遅れになる可能性があります。

事業承継には5年から10年かかると書きました。
事業を上手く承継する頃には、何歳になっていますか?

事業承継計画の進め方

計画を立てる時の基本は「現状の把握」から始める事です。
一つずつ見て行きましょう。

①会社の経営資源の状況は?

従業員数、資産、保有技術や免許・許認可、

キャッシュフローの現状と今後の見通しを整理します。

②会社の強み、弱みは?

これは内部環境と外部環境に分けて、自社の強み・弱みを

機会(チャンス)と脅威(リスク)に整理します。

SWOT分析と言うマトリクスの手法が一番判り易いです。

これをしっかりやっておく事で、M&A時には比較的早く、

有利な条件で事業譲渡できる場合があります。

(事業承継に限らずSWOT分析は本業の底力アップには有効です)

③経営者自身の状況は?

保有株式の状況、個人名義の土地、建物、負債、

個人保証の状況を整理しましょう。

④後継者候補はいますか?

後継者候補は、親族内か? それとも社員や外部からの招聘か?

また後継者候補の能力や適性、年齢、経歴、

会社経営に対する意欲はどうですか?

経営に対する価値観や信条等を明確にするため、

後継者候補に経営者の経営理念や方針を伝えていますか?

⑤相続が発生する際に予想される問題点はありますか?

法定相続人及び相互の人間関係・株式保有状況等の確認は行ってますか?

相続財産の特定や、相続税額の試算、納税方法の検討などは行ってますか?

承継を行動計画に落し込みましょう

現状の把握で大体をザックリ掴んだら、具体的な行動計画に
落し込む事で事業承継はスタートした事になります。

上段横に日程計画を年単位で作り、縦に項目を書き込んでいきましょう。
上から会社の売上や利益見通しの概要を書き込んだ後、
ご自身と後継者に対して、役割を計画化し○年後に事業承継が完了するストーリーにします。

例えば、今年は「後継者を取締役に昇格し、持株を〇%にする」で
3年後には専務取締役、5年後は副社長、8年後に代表取締役社長に就任し
自身は同年取締役会長に就任と目で見て分かる計画にすれば、その通り実現されるでしょう。

如何でしたでしょうか?

事業承継対策は、計画を立てる事から始まります。

社長ご自身で計画を立てる事も良いと思いますし、

私の様な専門家と二人三脚で計画を立てる道もあると思います。

どちらが早く、スムーズに事業承継出来ると思いますか?

本日もお読み頂きありがとうございました。

*出典:中小機構「中小企業経営者のための事業承継対策」

投稿者プロフィール

丸山一樹
丸山一樹
特定非営利活動法人 日本経営士協会 首都圏支部役員 経営士 丸山未来経営研究所 代表所長 ■ 主な執筆活動 「近代中小企業」(経営者向け専門誌) 「東洋経済オンラインニュース」 http://toyokeizai.net/articles/-/95664 ■ 経営者向け勉強会 決算書を読み解けず、会社のお金の流れにドンブリな経営者に「お金のブロックパズル」を使って視覚的に誰でも一瞬で理解出来る「脱★ドンブリ経営実践セミナー」を定期開催している。 ■経産省認定 経営革新等支援機関(関財金1第587号)